■被告
■ゲート
■ウェイ
ウェイのトリーチェに対する売買代金を被告が立替払い するため,形式的に本件取引の商流に介在したにすぎず,本件販売は,本 件商品の譲渡行為には該当しないと主張し,これに沿う証拠として,被告 社員であるA(以下「A」という。
)の陳述書(乙16)及び本件取引当 時ゲートウェイの取締役営業本部長であったB の陳述書(乙17)等を 提出する。
そして,これらの陳述書には,本件取引1では,利益率は約3. 3パーセント(単価1500円につき販売利益50円。
乙1,3,16), 本件取引2では4パーセント(単価1500円につき販売利益60円。
乙 - 10 - 2,4,16)であって,いずれの取引も通常の卸売りの場合の利益率1 0パーセントよりも低く,単なる立替払い(ファイナンス)にすぎないこ と,また,本件取引では,商品はすべて直接ゲートウェイに納入されてお り,被告には納品されていないこと等が記載されている。
しかし,利益率の高低は,本件販売の法的性質が売買か立替払いである かとの判断には直接関係のないことであり,また,商品が転売される場合 に,商品が中間の業者に納入されず,転買人に直接納入されることは商品 取引上よくあることであるから,これらのことは本件販売が売買であるこ とを否定する理由とはならない。
本件取引においては,被告が,平成17年7月25日にトリーチェから 「ヌーブラフェザーライト」1万5000個を購入した旨の仕入伝票(乙 1 ,被告が,同日「ヌー) , ブラフェザーライト」1万5000個をシー エスシーに販売した旨の売上伝票(乙2),被告が,同年8月11日にト リーチェから「ヌーブラフェザーライト」2503個を購入した旨の仕入 伝票(乙3),被告が,同日,「ヌーブラフェザーライト」2503個を ゲートウェイに販売した旨の納品書(乙4)がそれぞれ作成されているの であり,また,上記認定のとおり,被告がシーエスシー及びゲートウェイ から売買に伴う消費税を徴求している(ファイナンスであれば消費税は不 要である。
)ことからすれば,本件販売は,法的にはいずれも売買である と認められる。
なお,売買行為の経済的実体がファイナンスである場合でも,当事者が その法的形式として売買を選択することは,商品取引上珍しいことではな く,本件販売も,仮にその経済的実体がファイナンスであるとしても,当 事者がその法的形式として上記認定のとおり売買を選択したものである以 上,その法的性質も売買であり,売買に伴う法的な効果が生じるものとい うほかないのである。
- 11 - また,平成18年6月12日付でゲートウェイ,同月15日付でシーエ スシーが,それぞれ被告に対して発した,「貴社(被告)には伝票のみが 経由するという取引であったことより貴社に対する商品の瑕疵担保責任等 の仕入れ先への責任は履行しない」旨の記載がある確定日付を付した通知 書が存在する(乙5,6)ものの,これらは,被告が,本件商品が偽造品 であるとの指摘を受けてから,ゲートウェイ,シーエスシーに対し,作成 を指示したものであり(乙16),被告の意向に沿って作成されたもので あるから,信用性が乏しく,本件販売が売買契約であることを否定する根 拠とはならない。
以上のとおり,本件販売については,売買契約としての取引書類が作成 されており,他に本件販売が売買ではないことを窺わせる特段の事情は見 いだせない以上,本件販売は,いずれも被告を売主とする売買契約にほか ならないというべきである。
ウよって,本件販売は,本件商品の売買であり,被告は,本件販売1によ り,シーエスシーに対し本件商品1万5000個を,本件販売2により, ゲートウェイに対し本件商品2503個を,それぞれ譲渡したものと認め られる。
(3) 小括 以上によれば,被告は,本件商標1と実質的に同一又は類似する被告標章 1を使用して行った本件販売により,本件商標権1を侵害したものである。
なお原告は,被告が本件販売によるもの以外に,本件商品を4万個販売し たことが推定されると主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。
2 争点(2)(損害額)について (1) 上記認定のとおり,被告が,本件販売1によりシーエスシーに対し譲渡 した本件商品は1万5000個であり,商品の単位数量当たりの利益の額 は60円であるから,原告が被った損害の額は,90万円である。
- 12 - また,上記認定のとおり,被告が,本件販売2によりゲートウェイに対 し譲渡した本件商品は2503個であり,商品の単位数量当たりの利益の 額は50円であるから,原告が被った損害の額は,12万5150円であ る。
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以上の合計額は,102万5150円である。
( ) 本件訴訟の性質,経緯その2 他本件に表れた全事情を考慮するなら,被告 による本件商標権の侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は,10万 円と認められる。
3 争点(3)(侵害のおそれの有無)について 被告が,本件取引は,ゲートウェイのトリーチェに対する売買代金の立替払 いであると主張し,本件商品の譲渡を否認していること,Aが,被告は,本件 取引にはファイナンスとして関与したので,商品の真贋について,配慮しなか ったと述べていること(乙16),その他弁論の全趣旨によれば,被告が,今 後も被告標章1を付したブラジャー又はその容器若しくは包装を販売し,もっ て,原告の本件商標権1を侵害するおそれが認められる。
第4 結論 以上の次第であるから,原告の請求は,112万5150円及びこれに対す る平成19年5月29日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支 払と,別紙被告標章目録1記載の標章を付したブラジャー又はその容器若しく は包装に当該標章を付したものの差止め及び廃棄を認める限度で理由があるか ら,これらを認容し,その余の請求は,いずれも理由がないから,これらを棄 却することとし,主文のとおり,判決する。
d 野球カードの肖像権管理に関する共通認識の欠如 (a) 野球カードの肖像権管理が本件契約条項に基づくものであると - 52 - いう説明の欠如 上記野球ゲームと同様,控訴人ら選手は,その所属球団に対する 入団以来,球団から本件契約条項に基づいて球団が野球カードを含 む商品化目的で選手の氏名・肖像を使用許諾する権利を有している ことの説明を受けたことはないことを陳述している。
(b) 球団側も野球カードの肖像権管理が本件契約条項に基づくもの であると認識していなかったことを示す事実 上記野球ゲームとは一部異なる以下の4点の事実から,球団側さ えも野球カードの肖像権管理が本件契約条項に基づくものと認識し ていなかったことが認められる。
? 野球カードに関しては,昭和48年から各球団によるカルビー 社へのライセンスが始まったが,当時の読売興業株式会社東京読 売巨人軍(後の被控訴人巨人軍)とカルビー社の契約書(乙99 の10の1)においては,販売促進目的と商品化目的が明確に分 けられていた。
具体的には,当該契約書において,選手の肖像写 真を印刷した肖像写真印刷カードを,小麦粉あられの販売促進用 カードとして使用することは許諾されていたものの(第2条1 項),商品化することは禁じられており(第3条),販売促進目 的と商品化目的が明確に分けられていた。
このような契約を締結した被控訴人巨人軍が,本件契約条項に 基づいて球団が肖像権を管理していることを意識していたのであ れば,本件契約条項にはあくまで球団の「宣伝目的」としか書い ていないため,このような販売促進用の商品を製造する場合に は,この条文によってライセンサーである選手から適切な許諾を 受けられているのかどうか,慎重な検討をしなければならないは ずのものである。
また,少なくとも文言上,球団の「宣伝目的」 - 53 - とは異なる事案なのであるから,本件契約条項の「宣伝目的」の 改正を試みる必要が感じられてしかるべきであった。
しかしながら,野球カードに関するライセンス実態が始まった 昭和48年前後において,このような「宣伝目的」の文言が修正 されることもなく,上記のような悩みの跡はうかがわれない。
こ のような事実は,単に,本件契約条項を何も意識せずに,各球団 が個別に自由にカードメーカーに対してライセンスを開始した証 拠であると考えられる。
? 野球カードに関して,本件契約条項に基づいて球団が肖像権を 管理していたことを明確に認識していたのであれば,本件契約条 項2項により「適当な分配金」が支払われるはずである。
しかしながら,被控訴人ベイスターズにおいては,昭和48年 の野球カードの発売以来平成16年まで30年間にわたって,野 球カードに関する肖像権使用料を分配していなかった。
このよう な事実は,本件契約条項2項が完全に無視されている実態であ り,被控訴人ベイスターズが,野球カードに関し本件契約条項に 基づいて球団が肖像権を管理していたことを明確に認識していな かったことを示すものである。
? 他の球団の態度として,昭和48年から平成16年に至る30 年間の間に,例えば電波肖像委員会などで,各球団における肖像 権の管理実態の調査,意見交換を行うことはあったと考えられる し,結論的に本件契約条項に何ら変更がなかったことからすれ ば,他の球団は,被控訴人ベイスターズが分配を行っていなかっ たことを知った上で,放置していたのであり,それこそ,全球団 において本件契約条項2項への意識が低かったことを示すもので ある。
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